金融業界は、銀行、保険、証券など多岐にわたり、それぞれが独自のニーズと課題を抱えています。また、厳格な法規制やコンプライアンス遵守が求められるため、一般的な営業手法では担当者になかなか話を聞いてもらえないこともあります。
しかし、フォーム営業であれば、以下のようなメリットがあります。
面識のない企業にもアプローチできる:
既存の人脈に頼らず、ターゲットとなる金融機関やフィンテック企業に直接メッセージを届けられます。
非対面で時間を節約:
電話や訪問に比べて、担当者の時間を拘束しません。相手の都合の良いタイミングで内容を確認してもらえるため、受け入れられやすいアプローチ方法です。
コスト効率が高い:
交通費や移動時間がかからず、多くの企業に一度にリーチできます。
相手の「今」の課題に刺さる言葉を選ぶ
金融業界では、セクターごとに直面している課題が大きく異なります。多忙な担当者の目に留まり、メールを開封してもらうためには、相手が今、何に悩んでいるかを理解し、それに響くメッセージを送ることが不可欠です。
アプローチ先の課題を特定し、メッセージを組み立てると有効です。
セクター別:刺さる言葉の選び方
銀行(商業銀行)
・主な課題:
収益性の向上: 伝統的な貸出業務だけでは収益が伸びにくいため、手数料収入の多角化が急務です。
法人営業の高度化: 運転資金や与信の最適化といった、より専門的で付加価値の高い提案が求められています。
デジタル化: 顧客体験を向上させるための非対面チャネルの拡充や、内部業務の効率化が課題です。
・刺さる指標:
与信費用率(貸倒れリスクの管理)、DSO(売上債権回転日数)、C/I(経費率)、自己資本比率。これらの指標に触れることで、専門性をアピールできます。
保険
・主な課題:
法人向け商品の設計最適化: サイバー保険や役員賠償責任保険など、新しいリスクに対応する商品開発が求められています。
個人顧客の継続率・LTV向上: 既存顧客との関係を強化し、長期的な収益を確保することが重要です。
規制への対応: 顧客への誤認を招かないよう、募集管理やコンプライアンス体制を強化する必要があります。
・刺さる指標:
損害率(保険金の支払い状況)、継続率、平均保険料、事故対応時間。これらの指標を改善できる提案は、担当者の関心を引きやすいでしょう。
証券(投資銀行・ブローカー)
・主な課題:
ディール獲得の差別化: 競合との差別化を図り、M&Aや資金調達といった大型案件を獲得する必要があります。
PMI(買収後統合)支援: M&Aの成功率を高めるため、統合後の成長戦略を支援するニーズが高まっています。
ウェルス事業の最適化: 富裕層向けの資産管理において、長期的な視点でのコストや税の最適化提案が求められています。
・刺さる指標:
EBITDAブリッジ(収益性の分析)、ネットデット/EBITDA(財務健全性)、IRアクセス数(投資家との関係構築)。
フィンテック
・主な課題:
既存金融との協業: 銀行などとのAPI連携を通じて、サービスのユースケースを広げることが重要です。
コンプライアンスの強化: マネーロンダリング対策(AML)や本人確認(KYC)の堅牢化が不可欠です。
ユーザー獲得コストとLTVのバランス: ユーザーを獲得するためのコスト(CAC)と、生涯価値(LTV)のバランスを取り、持続的な成長を目指す必要があります。
・刺さる指標:
継続率、ARPU(ユーザーあたりの平均収益)、不正利用率、承認率。これらの指標に言及することで、フィンテック企業が重視する成長モデルへの理解を示すことができます。
金融業界へのフォーム営業を成功させるには、単に商品を売り込むのではなく、相手の「今、抱えている課題」に直接響くメッセージを送ることが不可欠です。
各セクターの担当者が何に悩んでいるか理解し、、相手の立場に立ったメッセージを送ることで、多忙な担当者の目に留まり、次のアクションへとつながる可能性を高めることができます。
2「いつ送るか」で成果が変わる
金融業界へのフォーム営業は、やみくもに送っても効果が出にくいものです。なぜなら、相手の「忙しい時期」と「情報を求めている時期」がはっきりと分かれているからです。
最も成果を出しやすいタイミング戦略を解説します。
年間カレンダーで読み解く「黄金パターン」(3月決算企業の場合)
相手方の決算月を基準に、以下のようにアプローチ時期を調整しましょう。
・1月: 年初方針固めで多忙。下旬から2月前半の決算準備に入る時期は避けましょう。
・2月〜3月: 決算・期末対応のピーク。この時期は原則としてアプローチを避けるべきです。
・4月: 内部締めや監査対応が続くため、軽い情報提供にとどめ、面談の提案は控えめに。
・5月〜6月: 決算発表(短信)直後から7〜14日間が最も成果を出しやすい黄金期です。この時期に「比較の前提を揃えた1枚の資料」を送ると、相手の意思決定に強く訴えかけることができます。
・7月: 上期運用の立ち上げ期。面談を設定するのに最適な時期です。
・8月: 担当者の長期休暇で現場は手薄になりがちですが、じっくりと資料を読み込む時間がある月です。「郵送1枚+軽めのフォロー」が効果的です。
・9月: 半期末で多忙。原則としてアプローチを避けましょう。
・10月〜11月: 半期明けの修正計画策定期間。年間を通じて最も有効なアプローチ時期です。
・12月: 年末進行で多忙になりがちです。上旬に「短時間の確認ミーティング」を提案するのが有効です。
セクター別・時期の「当てどころ」
セクターごとに最適なタイミングは異なります。相手の業界に合わせて戦略を立てましょう。
・銀行/ノンバンク
避ける時期: 期末(3月・9月)前後の、更改・審査が集中する時期。
狙う時期: 決算発表後1〜2週間、半期明けの10〜11月、与信更改の1〜2か月前。
・保険(法人)
避ける時期: 期首更新月の直前。
狙う時期: 更新月の2か月前、半期明けの10〜11月。
・証券/IR・投資銀行
避ける時期: 決算説明会・株主総会の直前。
狙う時期: 決算発表直後の1〜2週間、説明会開催の翌週。
・フィンテック
避ける時期: 大型リリース直前のスプリント最終週。
狙う時期: 提携や資金調達のリリース直後、翌四半期のプラン策定期。
これらのタイミングを意識してフォーム営業を行うことで、お客様に「今、必要な情報」を届けることができ、成果に繋がるでしょう。
3. 規制とコンプライアンスへの配慮
金融業界では、常に変化する規制の下で事業が運営されています。営業メッセージや提案内容が、最新の法令や業界のガイドラインに違反しないよう、細心の注意を払う必要があります。コンプライアンスを軽視したアプローチは、企業の信用を失うだけでなく、法的なリスクにもつながります。
ここでは、特に注意すべき3つのポイントを解説します。
1) 「断定的判断」を避ける
投資や運用に関わるメッセージでは、将来の利益を断定したり、確実性を誤認させるような表現は厳禁です。 例えば、「必ず上がる」「絶対に損をしません」「元本保証」といった言葉は、金融商品取引法などの法令に抵触する恐れがあります。
【実践のポイント】
「〜の可能性があります」「〜が期待されます」といった、不確実性を示す言葉を使う。
具体的な数値を示す際は、「前提条件」や「過去のシミュレーションに基づく」といった注釈を必ず添える。
2) 「適合性の原則」を意識する
顧客の知識、経験、財産状況、目的に適合した説明を行う「適合性の原則」は、一次的な接点であるフォーム営業でも意識すべきです。
例えば、リスク許容度が低い顧客に対して、高リスクな商品を一方的に勧誘するのは適切ではありません。フォーム営業の段階では、具体的な商品に深く踏み込むのではなく、あくまで相手が意思決定を行うための「判断材料」を提供することに留めるのが安全です。これにより、不適切な勧誘のリスクを回避し、お客様に誠実な姿勢を示すことができます。
3) 誇大表現や不当表示をしない
実績や効果について、根拠のない誇大な表現や誤解を招くような表示は法律で規制されています。
【実践のポイント】
「最安」「業界No.1」といった表現を使用する際は、調査機関、調査期間、比較対象といった明確な根拠を明記する。
具体的な成果や事例を記載する場合は、「〇〇社(匿名可)の事例」として、前提条件(例:導入期間、企業規模など)を添えましょう。これにより、信頼性が飛躍的に高まります。
コンプライアンス遵守は、単なるルールではなく、お客様からの信頼を獲得するための最大の武器です。
まとめ
金融業界への問い合わせフォーム営業は、高い専門性と戦略的なアプローチが求められます。
各セクターの課題を深く理解する
最適なタイミングでメッセージを送る
コンプライアンスを意識した提案を行う
これらのポイントを押さえることで、フォーム営業を単なる営業ツールではなく、新たな顧客関係を築くための強力な手段として活用することができるでしょう。
自社でアウトバウンド営業を導入したいけどリソースが足りない。そのような課題をアウトバウンドセールスの専門家が解決します。

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